(台北 29日 中央社)台湾が運用開始に反発している航空路を利用する中国大陸の航空会社2社から出された旧正月(春節)臨時便の運航申請について、交通部(交通省)民用航空局が認可を見合わせているのに関し、同部の陳進生・航政司長は29日の記者会見で、最悪の場合、中国大陸から台湾への帰省客の輸送に軍用機を稼働させる方針を明らかにした。軍用機は離島・金門で帰省客を乗せ、台湾本島まで運ぶ。
民用航空局が認可を見合わせているのは、中国東方航空とアモイ航空から申請された臨時便計176便。中国大陸は今月4日、台湾海峡の中間線付近の上空を通過する「M503」の北方向と支線航空路3本の運用を台湾との協議なしに開始し、2社はこれらの路線を利用している。台湾側は実務的な意思疎通を求めているが、中国大陸側は応じていない。
陳司長によれば、2社が運航を申請した8都市11路線にはいずれも両岸(台湾と中国大陸)の別の航空会社が就航しており、台湾のエバー(長栄)航空が杭州路線に大型機を投じるほか、チャイナエアライン(中華航空)も合肥や上海浦東など3都市と台湾を結ぶ計9便の臨時便の運航を申請した。だが、臨時便の運航には両岸双方の認可が必要なため、中国大陸側から許可が下りるかは不透明な状況だという。
陳司長は、2社の臨時便を予約している帰省客に対し、予約便の変更や香港、マカオ経由便の利用、小三通ルートによる帰台などを呼び掛けている。2社の臨時便の利用客は2月13日にピークを迎えるとみられ、約3310席の需要が見込まれる。小三通利用によるアモイから金門までの輸送能力は3000人以上に上るほか、金門から台湾までは、民間航空機で約1300人、軍用機3機で約840人を輸送できる。フェリーでの輸送も可能だとしている。