陳時中氏(左)
(台北 29日 中央社)衛生福利部(衛生省)の陳時中部長は29日、台湾が東京電力福島第1原発事故以降、福島など5県で生産・製造された食品に対して続けている禁輸措置について、見直しの必要があるとの見方を示した。特定の地域を対象にしている現行の規制方法から、米国などを参考にした高リスクの品目に限定する方向で検討する方針だという。
陳部長はこの日、記者会見に出席し、日本産食品の輸入規制を緩和する計画の有無について中央社の記者から質問を受けた。「日本産食品」と「放射能汚染を受けた食品」は分ける必要があると指摘し、汚染されていない食品については、貿易に関する国際ルールにのっとって適切に対処すると説明した。
陳部長は会見後、5県産食品の全面輸入停止は、事故発生直後に汚染のリスクが高い食品についてすぐに把握できなかったために採用した一時的な方法だった説明。すでに事故から数年が経過していることに触れた上で、措置の見直しが必要だと述べた。見直しの具体的な時期については決まっていないという。
同部の何啓功政務次長は、近年海外諸国が日本産食品に対する輸入規制を緩和していることに触れ、「台湾も無関心でいるべきではない」と述べ、措置について数年間全く調整を行っていないことに異議を唱えた。
日本産食品の輸入規制をめぐっては、中国大陸がすでに規制緩和に向けて日本側と協議する方向で調整に入ったと報じられており、政府の動向に関心が集まっている。