行政院の徐国勇報道官
(台北 31日 中央社)台湾が2011年以降続けている日本産食品への輸入規制について、陳時中・衛生福利部長(衛生相)が見直しの必要性を提起したのを受け、福島など5県産食品の輸入再開可否に再び注目が集まっている。行政院(内閣)の徐国勇報道官は30日、輸入規制の問題は国民の健康を第一に考える必要があるとし、国際基準や科学的根拠などを基に対処していくと述べた。中央社の取材に答えた。環境保護団体は、規制の見直しに肯定的な見方を示しながらも、決定には開かれた議論が必要だと訴えている。
台湾は2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所事故以降、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県で生産、製造された食品の輸入を禁止している。陳部長は29日、輸入制限の対象を現行の特定の地域から、将来的には高リスクの品目に改める可能性を示した。同部の何啓功政務次長も、世界各国が規制緩和を進める中、台湾が数年間全く措置の調整を行っていないことに異議を唱えた。
行政院食の安全オフィスの許輔主任は、政府の立場としてこれまで一貫して、世界各国と足並みを合わせて品目ごとの輸入制限を実施しようとしてきたことを強調。市民との意思疎通や情報公開が不十分だった可能性があるとし、今後はこれらを補強していくとした。
環境保護団体の主婦聯盟環境保護基金会は30日、報道資料を通じて、規制対象を特定の地域から高リスク品目に変更することは合理的な方向性だと指摘。一方で、リスクの高さに関する基準は政府の独断で決められるべきではないとし、関連の措置やリスクの意思決定に向けた情報を整備した上で、開かれた議論を進めていくべきだと主張した。