国立故宮博物院の林正儀院長
(台北 6日 中央社)若年層の来館減少を受け、国立故宮博物院は若者の集客を促す施策を推進している。林正儀院長は、若年層獲得のためには、収蔵品と若者の間に感情的な結び付きを生み出す必要があるとの考えを示した。5日までに中央社のインタビューで語った。
林院長によれば、若年層の来館者数は近年、かつての3分の1にまで減少。林院長は2016年の就任後、優先課題の一つとして故宮の若者化を掲げ、対策に乗り出した。先月16日には諮問会を設置。委員にはSNSやニューメディアの専門家のほか、故宮が公募で選んだ2人の青年代表が名を連ねる。林院長は、彼らの参加により、研究院の研究テーマや展覧会の企画方法に変化が起こればと期待を寄せる。
また、収蔵品につながりや親しみなどが感じられなければ、若者を呼び込むのは難しいと指摘する。収蔵品を地元の人々に知ってもらうためには、地元との結び付きを作り出し、人々の生活の一部にすることが必要だと林院長。地方への貸し出しを歓迎する姿勢を示した。
流行文化とのコラボレーションも試みている。テレビドラマや無料通信アプリのLINE、絵本作家のジミーさんらと手を組み、イラストなどを公開することも検討中だという。また、マクドナルドや鼎泰豊などの飲食店との連携も考えていると明かした。過去にカフェチェーン、85度Cの経営者と話した際には、肉形石や翠玉白菜などの名品を模したケーキを作れば話題になるのではないかとのアイデアも生まれたという。
林院長は、北部院区(北院、台北市)の見学、展示スペースの改善も進める。2016年の北院の年間来館者数は443万人を超えたが、林院長は「現在のスペースでは1日1万人は多い」とし、混雑が原因で数点だけしか見られない可能性がある現状では「興味本位で来る人しか引きつけられず、文化の伝播への効果はあまりない」との見方を示した。
故宮は今年7月、世界の美術館、博物館館長が参加するフォーラムを開催する。来館者増加に向けて連携の可能性を模索するのがねらいで、仏ルーブル美術館や大英博物館、米メトロポリタン美術館など20の国・地域から館長を招く予定。北京故宮の院長も招待しているが、現時点で回答はないという。