東山彰良さん(右)と謝長廷・駐日代表
(東京 22日 中央社)台湾出身の作家、東山彰良(本名:王震緒)さんが小説「僕が殺した人と僕を殺した人」で第69回読売文学賞の小説賞を受賞した。贈賞式が21日、東京都内で行われ、東山さんは作家の多くにとっては読売文学賞こそが最も名誉ある文学賞だと喜びを示した。
同作は2015年に直木賞を受賞した「流」に続き、再び台湾を舞台にした作品。東山さんは5歳のときに日本に移住しており、もし台湾に残っていたら今どうなっていただろうと考えると話した。自分が送っていたはずのもう1つの人生に対して特別な思いがあり、今回の作品の執筆につながったのかもしれないと語った。
「僕が~」は中年となった主人公たちの少年時代と現在の姿を織り交ぜて描いた青春小説。選考委員を務めた作家の小川洋子さんは同作について「厳しい家庭環境の中、親しみ合い、時に反発し合いながら日々を送る、台湾での少年たちの描写が素晴らしい」と評価している。
式典に出席した謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表(大使に相当)は、東山さんの受賞は容易なことではないとたたえ、作品を通じてより多くの日本の人々に台湾について知ってもらえるだろうと述べた。