ウィリアム・クラインさん(手前)と沈昭良さん
(台北 6日 中央社)台湾の写真家、沈昭良さんの作品が、東京のデザイン専門施設「21_21デザインサイト」で開催中の企画展「写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−」に出展されている。台湾人が同所で作品を展示するのは初。沈さんは中央社の取材に対し、「これほど大規模の展覧会に参加できたことは、私個人にとっても、台湾の写真家にとっても大きな意義がある」と喜びを語った。
20世紀を代表する米国出身の写真家、ウィリアム・クラインさんの作品を出発点とした同展には、沈さんのほか、朴ミナさん、石川直樹さん、勝又公仁彦さんなどアジアの若手写真家12人も参加し、20世紀から21世紀に至る都市ビジョンの変貌が写真を通じて紹介されている。
沈さんは台南出身の1968年生まれ。出展したのは「STAGE」(舞台車)シリーズの作品で、大型作品16点が横30メートルの壁に並べて展示される。舞台車とは、移動式のパフォーマンスを行う台湾特有の演芸団「綜芸団」がステージとして使用するきらびやかなトラック。主催側の紹介によると、沈さんの作品は大型トラックステージを使った台湾の生き生きとした情景に、トラックの組み立てから撤去までの24時間を撮影した高速度撮影映像を組み合わせ、アジアの深い混沌を浮かび上がらせている。作品は思っている以上に注目されていると沈さんは反響の大きさに驚きをのぞかせる。
先月22日の内覧会、同23日の開幕式に出席し、クラインさんやグラフィックデザイナーの佐藤卓さんらと顔を合わせた沈さん。クラインさんなどと同所で交流できたことを光栄に思うと語った。同24日には、展覧会ディレクターの伊藤俊治さんと対談し、台湾綜芸団の様々な表情や庶民生活などについて紹介した。沈さんは作品とトークイベントを通じて、海外の人々に台湾文化への理解と関心を高めてもらえればと思いを明かした。
6月10日まで開催。