津田三蔵の勲章を剥奪した褫奪状=大津市歴史博物館所蔵
大津市教育委員会は19日、大津事件を起こした津田三蔵関連資料と、旧正蔵坊庭園(小関町)の2件を市指定文化財に追加すると発表した。市指定文化財は総数129件になる。
ロシア皇太子ニコライを1891(明治24)年に襲撃した津田三蔵の関連は、軍籍辞令や履歴書といった津田に直接関わる資料など294点。陸軍伍長として参加した西南戦争の従軍記録や滋賀県巡査の奉職を願った巡査志願書、西南戦争の功績で授与された勲七等を事件後剥奪された褫奪(ちだつ)状(剥奪状)など、事件の前後の経緯を裏付ける。
他に、義弟・町井義純に宛てた1歳の娘の死を悲しむ自筆の書簡や、町井家に伝わる事件関連書類やコピーも含む。2016年度に市に寄贈されていた。
旧正蔵坊庭園は、書院から眺める座観式庭園。園城寺山内の庭園と共通の池泉形式をとる。意匠は、東側が山麓風の傾斜地に大小の景石を据え付けた滝石組で、西側は植栽による穏やかな景観となっており、石橋を境に東西で大きく変わる。
庭園のあった元微妙寺正蔵坊は1644年に再興された園城寺五別所の一つで、庭園成立もこの時期とみられる。園城寺別所のこうした遺構はほぼ失われており、良好な状態で保存されているのは極めて貴重という。