解体を免れる掩体壕の外観(上)と内部
(高雄 23日 中央社)日本統治時代に南部・高雄市に建設された軍用機の格納庫「掩体壕」(えんたいごう)が、空軍士官学校の排水工事のために解体されていたことが明らかになった。同校の李世欽総務処長は22日、同市政府文化局に対して謝罪の意を表した。軍に対しては、郷土史団体や地域住民から批判の声が上がっている。
郷土史団体、高雄市旧城文化協会の郭吉清理事長によると、解体された掩体壕は第2次世界大戦中、高雄海軍航空隊によって建設された。大きさは幅約30メートル、高さ10メートルを超える。当時の軍事エリアには掩体壕が50基近くあったが、後に中華民国軍が同所を士官学校として整備する際、今回解体されたものを含む2基は学校の敷地外とされた。
70年以上の歴史を有する掩体壕が破壊されたことについて、郭理事長は、軍には文化財保存の観念がないと非難する。近隣に住む男性は、幼少期に掩体壕を遊び場として使っていた思い出を明かし、軍のやり方は粗雑だと憤りをあらわにした。
士官学校は工事のため、敷地外の2基全てを解体する予定としていたが、李処長は文化局に対し、もう1基の解体停止を約束した。