「盜命師」の上映会に出席するリー・チーユエン監督(前列左から2人目)
(台北 27日 中央社)台湾の鳩レース文化と臓器売買の問題を描いた台湾映画「盜命師」の上映会が24日、台北駐日経済文化代表処台湾文化センター(東京都)で行なわれ、リー・チーユエン(李啓源)監督が作品について日本の観客に紹介した。リー監督は、台湾ローカルの題材を扱った映画が異なる文化を持つ人々に理解されるのは喜ばしいことだと話した。
同作は臓器売買と鳩レースをめぐる人間模様や愛を描いたサスペンスタッチのヒューマンドラマ。台湾では昨年10月に公開された。出演はサニー・ワン(王陽明)やアニー・チェン(陳庭[女尼])ら。
リー監督は作品内に登場する鳩レースなどの文化について、台湾では日常生活の中のありふれたものだと捉えられ、映画のテーマにされることは少ないと言及。これらの文化は台湾独特なものであり、人々の生活経験の一部分を構成している一方で、多くの台湾人が見ているのは表面だけで、鳩レースの背後にある状況は知らないと語る。「私自身も作品を撮らなければ知らなかった」と話した。
世界各地の映画祭に参加し、様々な国の観客と交流することは、自身にとって最も大きな収穫だと語るリー監督。「ビューティフル・クレイジー」(乱青春)で2008年の東京国際映画祭に参加した際、上映後に日本人の高齢女性から涙を流しながら「青春を思い出させてくれた」と握手を求められたエピソードを明かし、この出来事に非常に感動し、自身にとって大きな励みになったと振り返った。