呉茂昆・教育部長(右)
(台北 19日 中央社)物理学者で東華大学(花蓮県)の前学長、呉茂昆氏が19日、教育部長(教育相)に就任した。台湾の最高学府、台湾大学の学長人事をめぐって今月16日に辞任した潘文忠氏の後を引き継ぐ。呉氏は就任式典後の取材で、来週にも同大の学長人事に関する検討を再開する方針を示した。
同大の学長人事をめぐっては、学術研究機関、中央研究院の院士・管中閔氏が今年1月に学長に選出され、2月1日に就任する予定だったが、選考委員会メンバーの1人と同じ企業の役員だったことや、論文の盗用、禁止されている中国大陸の大学教員の兼職など疑惑が次々と浮上。教育部から学長就任の承認が下りない状態が続いていた。今月上旬、教育部は省庁をまたいだ専門の調査チームを発足させ、管氏の就任が妥当か否か検討を行うと発表。1回目の会議が10日に行われたが、潘氏の辞任で2回目の会議は延期となっていた。
管氏は馬英九前政権下での閣僚経験者。潘氏は辞任の理由について、一連の問題をめぐる政治的操作が業務執行上の負担と圧力になっていたことなどを挙げている。
行政院(内閣)の徐国勇報道官は19日のラジオのインタビューで、呉氏は馬前政権下の2014年に起きた学生運動に対する支持を最初に表明した学長だと称賛。さらに、当時立法院(国会)に大学学長が集められ、「台湾が主権独立国家だと考える者」と立法委員(国会議員)が挙手を求めた際、手を挙げた唯一の学長だとも紹介した。
野党・国民党は、呉氏の教育部長就任に対し反発を強めている。同党は呉氏の教育部長就任が明らかとなった今月中旬、呉氏が中国大陸の学術機関「中国科学院」の顧問を務めていたことがあると主張。呉氏はこれに対し、同院との関わりは短期的な学術交流のみだったと書面を通じて説明した。