阿里山森林鉄道の車両=嘉義林区管理処提供
(嘉義 19日 中央社)日本統治時代に林業の拠点とされた阿里山(嘉義県)の世界遺産申請を推進する団体「阿里山世界遺産協会」が17日、南部・嘉義市内で発足した。メンバーは世界遺産や山林、鉄道、歴史、建築、文化、芸術などの専門家。同協会は「阿里山林業文化景観」としての世界遺産申請と今後の管理、保護を目指す。
協会が推進する阿里山林業文化景観は、嘉義市の産業エリア、阿里山のヒノキ林エリア、鉄道エリアの3つの遺産群で構成される。文化部(文化省)文化資産局は現在、台湾各地の遺跡群や景観など計18カ所を世界遺産候補地として認定しており、その中の一つに「阿里山森林鉄道」が選ばれている。だが同協会は鉄道を含めたさらに広い範囲での申請を目指す。
郭盈良理事長は、阿里山の林業は日本統治時代には東洋一の規模であり、嘉義を木工業の町として発展させたと言及。世界史やグローバルな観点から阿里山を見つめると、森林資源の過剰な開発と後世に待ち受ける生態学的不均衡の問題を省みる必要があるとし、いわゆる「負の遺産」こそが同協会が保護を進めていきたいものだと説明した。世界遺産申請によって阿里山の貴重な資産を守ることでこそ後世に顔向けできると話し、ヒノキの原生林が現存する日本や米国、カナダなど多国間で申請する可能性を探っていく方針を示した。
世界遺産に申請するためには、保有国が世界遺産条約の締約国である必要がある。だが台湾は条約を締結しておらず、世界遺産には1件も登録されていない。