今月27日に飲食店兼アートスペースとしてオープンする旧鶯料理の建物=台南市政府文化局提供
(台南 19日 中央社)日本統治時代の名残をとどめる「旧鶯料理」と「旧台湾総督府専売局台南支局」(いずれも台南市)の修復工事が終わり、近日中にそれぞれ飲食店兼アートスペース、カフェとしてオープンする運びとなった。同市政府文化局が19日に発表した。
鶯料理は旧市街に造られた高級料亭で、各界の名士が集う社交場としてにぎわった。1923(大正12)年の台湾行啓で台南を訪れた皇太子時代の昭和天皇をもてなしたと伝えられている。表棟、中棟、裏棟の3棟からなる。
台南市は、台風で全壊した表棟を除く2棟を優先的に修復し、2013年12月に一般開放を開始。15年に、同市初の「記念性之建築物」(文化記念物に相当)に認定し、17年には表棟の復元工事もスタートした。今年初めに竣工した表棟は、軽食もとれるアートスペース「鷲嶺食肆」として今月27日に開業する。
一方、食塩の専売業務を担当していた台湾総督府専売局台南支局は、本来高雄にあった烏樹林支局の紅毛港出張所を、1919~22(大正8~11)年ごろに現在地に移築した建物。妻飾りを取り付けた破風板など、日本建築の特色が見られ、2003年に台南市の古跡に指定されている。
2015年に始まった修復工事は昨年完成しており、5月中旬にカフェ「漫漫弄[口加][口非]」として生まれ変わる予定。