明智光秀をテーマにした2020年の大河ドラマ決定を伝えるため
JR亀岡駅に設置された看板(京都府亀岡市追分町)
NHKは19日、2020年の大河ドラマのタイトルが「麒麟(きりん)がくる」で、主人公の戦国武将・明智光秀役を長谷川博己さん(41)が演じると発表した。脚本は大河ドラマ「太平記」などを手掛けた池端俊策さんが書き下ろす。
明智光秀は世間では逆臣のイメージが強いだけに、光秀とゆかりの深い京都や滋賀の自治体関係者や地元住民からは、喜びの声とともに「名君、知将としての光秀を全国に知ってほしい」と願う声が相次いだ。
京都府福知山市は光秀が福知山城を築き、由良川の治水や城下町の整備など今に続く礎を築いた。「丹波福知山明智光秀公研究会」の西雄直樹事務局長(74)=同市=は「世間では良くないイメージが強いが、福知山では名君として親しまれており、光秀の良さを全国に広げたいと活動を続けてきた」と語った。ゆかりの京都、兵庫、福井3府県の自治体が2011年に設立した「NHK大河ドラマ誘致推進協議会」会長の大橋一夫福知山市長は「多年にわたる活動が実を結んだ。非常にうれしい」とコメントした。
同協議会で誘致に携わった亀岡市観光協会の楠善夫会長(69)は「大河効果で観光客の増加も期待できる。本能寺の変を起こした『逆臣』のイメージを覆し、知将や文化人としての側面も伝えてくれれば」とドラマに期待した。
長岡京市は、本能寺の変以後、激動の人生をたどった光秀の娘・細川ガラシャの輿入れ先になったとされる勝龍寺城があった。中小路健吾市長は「さまざまな人間ドラマを繰り広げたゆかりの地。必ずや共感と感動を与えてくれる」。羽柴秀吉との「山崎の合戦」の舞台となった大山崎町の山本圭一町長も「天下分け目の地を知ってもらえるチャンス」と笑顔を見せた。
京都府の西脇隆俊知事は「関係市町、団体と連携を深めて盛り上げたい」と歓迎した。
光秀は琵琶湖岸に坂本城を築いた。光秀一族の菩提(ぼだい)寺である西教寺(大津市坂本5丁目)執事長で「明智光秀公顕彰会」会長を務める喚阿(かんな)宏道天台真盛宗宗務総長は「東京オリンピックが開催される歴史的な年で大変うれしい。菩提寺として顕彰活動をより積極的に展開したい」と話した。
滋賀県庁では職員らが和服を羽織って決定を喜んだ。三日月大造知事は「光秀は武芸だけでなく、教養深い武将。近江の地を多くの人に訪れ、知ってもらう機会にしたい」と語った。
(2018年04月20日 京都新聞)