京都大医学研究科の岩井一宏教授
工学研究科の白川昌宏教授
悪性リンパ腫に関連する酵素の構造を不安定にすることで、リンパ腫のがん細胞を死滅できた、と京都大医学研究科の岩井一宏教授や工学研究科の白川昌宏教授らが24日、発表した。酵素の構造を標的とした抗がん剤開発につながる成果で、米科学誌に25日掲載する。
ヒトやマウスなどの細胞内で、タンパク質の働きや挙動を決める酵素「LUBAC(ルバック)」は、特定の悪性リンパ腫で活性が高く、いくつかの抗がん剤の耐性に関わることが知られている。酵素活性を下げる研究が進められてきたが、十分な成果を得られなかった。
研究グループは、酵素を構成する三つのタンパク質の結合状態を分析。最も強い結合部分の阻害剤を開発し、細胞に加えたところ、安定した構造の酵素が減少した。また、阻害剤を加えるとヒトの悪性リンパ腫の細胞が死滅することを確認した。
今月から製薬会社と創薬に向けた研究を始めたといい、岩井教授は「効率的に結合を弱め、酵素の量を減らす手法を見つけたい」と話している。