蒋介石の肖像がデザインされる(左から)10元、5元、1元硬貨
(台北 26日 中央社)過去の権威主義的な統治の下で行われた人権侵害やその結果の真相究明などを目指して設置される「移行期正義促進委員会」(促進転型正義委員会)の委員に指名されている黄煌雄・元監察委員ら9人は25日、硬貨に描かれている蒋介石元総統の肖像が「権威主義体制の象徴」に当たるとする見解を全員一致で示した。今後、硬貨のデザインを変更するかについて黄氏は、将来的に具体的な行動をもって回答すると述べた。
この日午後、同委員会の委員に関する審査が立法院(国会)司法及び法制委員会で行われ、頼清徳行政院長(首相)から委員に指名された9人全員が立法委員(国会議員)の質疑に答えた。黄氏はトップの主任委員(閣僚級)に、副主任委員には張天欽・大陸委員会副主任委員が指名されている。9人は野党・国民党の李彦秀議員から、硬貨上の蒋介石の肖像が権威主義の象徴に当たるか質問されると、全員が挙手をし、同意を示した。
蒋介石の肖像が描かれているのは、1元、5元、10元硬貨。50元硬貨には中華民国建国の父、孫文の肖像がデザインされている。
移行期の正義を積極的に推進する蔡英文政権。昨年12月には「移行期の正義促進条例」を立法院で成立させた。同委員会は同条例を所管する機関として行政院(内閣)の下に独立して設置され、政治資料の公開や権威主義体制の象徴の排除、過去の司法の是正、国民党が取得した不当資産の処理などを進める役割を担う。指名を受けた9人は、立法院の同意を経て委員に就任する。