台湾の千元札=資料写真
(台中 4日 中央社)台湾台中地方法院検察署(地検)は3日、日台共同出資の詐欺グループによる振り込め詐欺被害に遭った日本人女性が示談金300万台湾元(約1100万円)を受け取り、示談が成立したと発表した。女性は示談成立を後押しした担当検察官に手紙で感謝を伝えたという。
被害者の女性は昨年8月、三井住友銀行や検察官などを装う電話詐欺で現金5830万円をだまし取られた。この事件で台湾人の男2人が日本の警察に逮捕され、共犯に関する情報を入手した台中地検は地元警察らとの連携で捜査を開始。台湾人の男と日本の指定暴力団住吉会系、山口組系の組員が共同で組織した詐欺グループが台中市内にアジトを設置していることを突き止めた。この詐欺グループは日本だけでなく、中国大陸を狙った詐欺も働いていた。昨年12月にアジトを捜索し、主犯の男を含むメンバー8人を逮捕した。
台中地検によれば、日台間には司法共助の体制が整っておらず、法律外の要素による干渉などを避けるため、日本の警察とのやり取りをした上、被害者の日本人女性に台湾での証言と損害賠償請求を要請。女性は昨年12月と今年4月の2度にわたり訪台した。2度目の訪台では示談の手続きを進め、主犯の男から直接謝罪を受け、300万元での示談で合意した。女性は示談金を現金で受け取った後、帰国したという。
台中地検は、外国人が自ら台湾で告訴、証言し、一部の賠償を得た初のケースだとしている。