2015年末、マラウイ内にある中国人村に4万席を構えるLilongweスタジアムが完成。
撮影者によると、中国資本で中国人労働者により建設された
近年、「一つの中国」を認めない台湾の蔡英文政権に中国当局は圧力を強めている。台湾を国際社会で孤立させるために、友好国を相次ぎ断交に追い込んだ。蔡英文政権が2016年5月に発足して以降、台湾と外交関係を解消したのは、アフリカのサントメ・プリンシペ、中米パナマとカリブ海のドミニカ共和国の3カ国だ。
一方、台湾との断交を後悔する国もある。アフリカ南東の内陸にあるマラウイ共和国は2007年に中国と外交関係を結び、台湾との41年間に及ぶ外交関係を中止した。マラウイの面積は台湾の約3倍、人口1700万人。アフリカの中でも最貧国の一つに数えられる。中国は同国GDPの4分の3に当たる60億ドルの投資を約束し、翻意させた。
断交した9年後の2016年、台湾メディア・轉角國際はマラウイの現状をレポートした。それによると、2009~12年の間、中国は同国で30を超える援助プロジェクトを実施した。中興通訊(ZTE)、華為(ファーウェイ)は全国を覆う3G通信網を建設した。
大型インフラのほか、安価な中国製品と中国人も押し寄せた。全国各地の街に中国人経営の小売商が軒を連ねている。その影響で地元住民の店が相次ぎ倒産した。2011年、全国範囲で反中デモが行われた。その後、マラウイ政府は中国人小売業を4都市に限定した。それでも、2016年に「客は全部中国人に取られた」と同国北部のMzuzuで200人あまりの小売店の店主は抗議活動を行い、中国人を追い出すよう政府に求めた。
ほかに、中国人の雇い主は従業員に長時間労働と低賃金を強いており、文化の違いも拍車をかけ、現地住民との衝突が絶えなかった。一方、同国の高官はチャイナマネーに夢中だ。
マラウイの大統領が2012年に急死したあと、複数の海外銀行口座に巨額な預金があったと暴露された。台湾南アフリカ支店だけで大統領名義の預金は3億5千万ドルに達した。当時、北京当局との交渉を担当した大臣は、中国側からの援助金10億元を着服した。中国と国交樹立した後、大臣はイギリスに逃亡した。
台湾建設の病院はエイズ蔓延阻止 国交断絶を後悔する現地の声
マラウイは医療の発展が立ち遅れている。とくに2000年以降、エイズ感染者は急増した。台湾は2001年に同国北部最大のMzuzu中央病院を建設した。院内にエイズ患者を治療する「レインボークリニック」が併設されている。毎日、群をなす住民は10~20キロを歩行し山を越えて診察を受けに来ていた。
クリニックには台湾から派遣された20数名の医療関係者が常駐して診療に当たっていた。5万人もいるエイズ患者を追跡するシステムを構築し、北部のエイズ感染の蔓延を効果的に阻止した。
台湾とマラウイの断交後、台湾の医療スタッフと医療設備は撤退した。これまで蓄積された経験は途絶えた。
中国は後進国への支援を各省に委託している。マラウイを担当したのは陝西省の医療機関。その後、医療支援は続いているが、通訳不足で、患者と十分なコミュニケーションが取れていない。医師の能力も十分とは言えない。最も重要なのは中国の医療チームは明確な計画を制定していない。5万人の患者は宙に浮いた。
また、中国と国交樹立後、約束された援助金が支給されない事例がある。2016年に中国と外交関係を結んだサントメ・プリンシペは1.4億ドルの援助金を受領していない。空港の拡張工事や港の建設工事は未着工のままだ。
2007年に台湾との外交関係を解消したコスタリカも、約束された総工費10億ドルの製油所と4億ドルの道路建設の計画は、進展がない。
「やはり台湾と国交があった時は良かった。台湾は真の援助を与えてくれた。中国人は金稼ぎしか考えてない。何も残してくれなかった」とマラウイのある住民は台湾メディアに話した。
(大紀元)