新築した六角形の地蔵堂(左)と旧地蔵堂を利用した観音堂
京都市内の六つの地蔵を巡拝する六地蔵めぐりの一つで、「鞍馬口地蔵」を祭る上善寺(北区)が地蔵堂を新築した。由緒に合わせ、従来の方形のお堂を六角形に変更し、旧地蔵堂は南隣に移築して観音堂とする。今夏の六地蔵めぐり(22~23日)から参拝できる。
旧地蔵堂は、間口と奥行きが約5・7メートル、高さ約8・9メートル、1918(大正7)年に建てられ、老朽化が著しく新築を決めた。
江戸時代の「六地蔵縁起」によると、平安末期に後白河天皇の命によって、平清盛が西光法師に都の6カ所の入り口に六角形のお堂を建てさせた。その際、小野篁が桜の木で造らせた地蔵像を祭ったのが六地蔵めぐりの始まりという。
この由緒に基づき、新築を契機にお堂の形を六角形にした。一辺は約3メートルで、高さ8・2メートル、面積23・4平方メートル。木造平屋、本瓦ぶき。また、安置する地蔵立像(像高194センチ)に剝落(はくらく)止めを施した。この時の調査で、地蔵立像は由緒の通り、桜の一木造りであることも判明した。観音堂(旧地蔵堂)には、地蔵立像の両脇に安置された観音像など仏像3体を祭る。
福原徹心住職(44)は「新築を契機に子連れでお参りいただき、手を合わせる姿を子どもに見せて地域の伝統行事を次世代に引き継いでほしい」と期待する。
六地蔵めぐりは、上善寺と、大善寺(伏見六地蔵、伏見区桃山)、浄禅寺(鳥羽地蔵、南区上鳥羽)、地蔵寺(桂地蔵、西京区桂)、源光寺(常盤地蔵、右京区常盤)、徳林庵(山科地蔵、山科区四ノ宮)の六カ寺を巡拝する京の夏の伝統行事。各寺で色の異なる短冊形の「お幡(はた)」を授かる。