桃園市にある台湾民政府中央会館
検察、本部を家宅捜索
(桃園 11日 中央社)台湾の日本復帰などを主張する組織「台湾民政府」がもうけ話をえさにマルチ商法まがいの方法で資金集めをしているとして、桃園地検は10日、台湾民政府中央会館(桃園市)や幹部7人の自宅を家宅捜索した。検察は同組織を「政治ねずみ講」と形容している。
台湾民政府は、台湾の事実上の主権は日本の天皇が有しており、架空の「米国軍政府」に台湾が将来的に接収されると主張。2008年の発足以来、「将来は政務官になれる」など巧みな言葉によって、同組織が発行する身分証や自動車のナンバープレート、車検証などを販売していた。同組織は、台湾民政府の身分証があれば、米国にビザなしで入国できると触れ回っていた。
検察は市民による検挙を受け、台湾全土の被害者110人余りに聞き取りを行ったほか、外交部(外務省)を通じて米国に問い合わせたところ、台湾民政府が宣伝していた内容が全て虚偽だったことが判明。政治的な話術でカモフラージュされた「政治犯罪」だと判断した。
家宅捜索では現金1億3000万台湾元(約4億7800万円)と外貨、会員名簿、エアガン9丁、多数の警棒などが見つかった。会員は3万6000人に上り、少なくとも3億元(約11億円)を不正に得ていたとみられる。
検察は詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)の容疑で創設者の林志昇容疑者や幹部ら計7人の身柄を拘束した。