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平成最後の斎王代、伝統噛みしめ 京都・葵祭

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腰輿に乗り込んだ斎王代の坂下志保さんと、娘を見守る
母の美保さんと父の隆一さん(京都市上京区・京都御所) 


京都市内で15日、葵祭が始まり、緑が美しい都大路を平安装束に身を包んだ一行が進んだ。来年の改元を控え、「平成」では最後の葵祭となる。ヒロインの斎王代は「時代の節目」に祭りを担うという責務を胸に抱きながら京都御所(上京区)を後にした。

 「千年の歴史の重みを感じながら進みたい」。午前10時すぎ、63代斎王代の坂下志保さん(23)=左京区=は、りんとした表情で輿(こし)の「腰輿(およよ)」に乗り込んだ。

 小さいころから日本文化に親しんでいた。母方の実家は300年以上続く八ッ橋の名店。母の(旧姓西尾)美保さん(55)も斎王代を務めている。母の影響もあり、坂下さんは4歳から京舞井上流を習い始めた。その後には、しの笛の稽古も。2009年の葵祭には釆女(うねめ)として参列している。

 それだけに約1500年続く葵祭の歴史や斎王代としての責務を痛感している。「十二単(ひとえ)を伝統の重みと受け止めて務めていく」。4月の斎王代決定会見時や今月4日の上賀茂神社(北区)での「御禊(みそぎ)の儀」の際には必ず発言していた。

 15日朝、十二単姿の斎王代を前に美保さんは「偶然とはいえ、不思議なご縁を感じる」としみじみと語った。美保さんは1988(昭和63)年の「昭和最後」の斎王代。坂下さんは「平成最後」の斎王代となる。

 いにしえから受け継がれた葵祭は数度の中断を経ながらも昭和、平成と確実に受け継がれてきた。そして次代へ。「ご縁の大切さを感じながら、感謝の気持ちを胸に臨みたい」。坂下さんを乗せた腰輿は御所を出発した。


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