蔡英文総統
「移行期正義」専門委設立 蔡総統、権威体制との決着誓う
(台北 31日 中央社)過去の権威主義的な統治の下で行われた人権侵害やその結果の真相究明などを目指す「行政院移行期正義促進委員会」(促進転型正義委員会)が31日、正式に設立された。台北市内で看板除幕式が行われ、蔡英文総統は「今こそわれわれが権威主義体制の時代に決着をつける時。一歩を踏み出してこそ、台湾の民主主義は真に堅固になるといえる」と述べた。
移行期の正義を積極的に推進する蔡英文政権。新たに発足した同委員会は、昨年成立した「移行期の正義促進条例」の所管機関として行政院(内閣)の下に独立して設置された。政治資料の公開や権威主義体制の象徴の排除、過去の司法の是正、国民党が取得した不当資産の処理などに取り掛かる。今月17、18日には白色テロ時代の政治犯の収監施設を再利用した国家人権博物館「白色テロ緑島記念園区」(台東県緑島)、「白色テロ景美記念園区」(新北市景美)が相次いで設立された。
蔡総統はあいさつで、政府はこれまで真相について系統立てた調査を行っておらず、加害者の責任究明や被害者の名誉を回復させる仕組み作りもしていなかったと言及。この日やっと苦境から抜け出せるようになったと語った。
蔡総統によれば、同委員会が取り組む最初の任務は、権威主義体制下の真相報告書の提出。「扉を閉ざして書くことはしない」とし、厳格な検証に耐え、各界に認められる報告書を完成させると意気込んだ。
蔡総統は「権威主義体制に関与した人と被害者が同時にこの島に暮らす最後の世代になるかもしれない」と語り、「今やらなければ、永遠に過去に向き合う機会を逃してしまう」と移行期の正義を進める意義を強調した。