文化庁の京都移転に向けて25日に東京都内で開かれた文化庁移転協議会では、新組織「地域文化創生本部(仮称)」を来年度に京都市に先行移転させることが正式に示された。一方、全面移転に向けた庁舎の場所や地元の費用負担についての結論は、来年8月に持ち越しとなり、2020年の東京五輪・パラリンピックまでの全面移転を望む京都側は、政府側にスピード感のある対応を求めた。
この日示された中間報告では、文化庁の移転先について、▽国を代表する文化的な環境にある▽交通の便が良い――など5項目を明記。年内に条件に見合う候補地と必要な経費などをまとめた上で、来年8月末までに具体的な場所や費用負担のあり方を決めるとした。
移転先を巡っては、今年4月に馳浩・前文部科学相が移転予定の府警本部(上京区)について「100点満点」と評価し、「ほぼ移転先に決まり」(府幹部)とみられていた。しかし、7月に京都市を訪れた馳氏が、京都国立博物館(東山区)も有力候補とする考えを示したため、山田知事は「20年までに全面移転するなら、あまり時間はない」と移転先の決定時期の遅れに懸念を示していた。
関係者によると、移転先の決定時期を巡っては、協議会の直前まで関係者で修正が重ねられたという。
山田知事は協議会で、「東京五輪を見据え、文化庁移転が新しい文化成長戦略として構築されることに意味がある。機運を逃すとずれたものになる。スケジュール感をもって進めてほしい」と国側に注文。
松野文科相は「スピード感は極めて重要」としつつ、「業務に停滞をきたさないようにしないといけない」と、十分な検証をしながら移転を進める考えを示した。
協議会終了後、山田知事は「(全面移転に向けた)スケジュールを決められたのは大きい。着実に進展するようにサポートしたい」と語った。