台北の中正紀念堂で、赤いペンキが付着した蒋介石の銅像
台湾・台北で20日、観光名所の中正紀念堂に設置された蒋介石の像に、抗議団体が赤いペンキが入った卵を投げ付けた。同国では、権威主義的な体制が敷かれた過去への反発の動きがみられている。
中正紀念堂は観光客に人気で、その中心に据えられているのが高さ6.3メートルの蒋介石の銅像だ。この像に赤いペンキがべったりと付着し、土台周辺に卵の殻が散乱しているのが見つかった。これを受けて警察は、2人の人物を拘束したという。
蒋介石については、1975年に死去するまで反対派数千人を粛清した残虐な軍事政権の象徴とする見方が多く、その像は繰り返し標的になっている。
今回の抗議活動を行った団体はフェイスブック(Facebook)に、「犠牲者の血を象徴する赤いペンキを、今一度このくだらない顕彰施設にぶちまける」という声明を出した。さらに、本堂を含め蒋介石ゆかりの遺物すべてを撤去するよう要求した。
中国政府は今なお、台湾を自国領土の一部とみなしている。台湾の多くの若者にとって蒋介石は、中国に対して警戒心を抱く人々が中国本土と同一視する権威主義体制の代名詞ともなっている。
一方で、共産党軍と戦った国民革命軍を率い、第2次世界大戦時には日本軍と戦った蒋介石を、英雄として崇拝する人が今なお数多く存在する。(c)AFP