彦根城の中堀に自生するオニバスの観察会が4日、滋賀県彦根市金亀町の同城一帯で開かれた。昨年はほとんど見られなかったオニバスが、今年は12株生育しているのが確認され、参加者から喜びの声が上がった。
オニバスは県内では彦根城中堀に唯一自生している。2010年に中堀の一部範囲のオニバスが市の天然記念物に指定された。
観察会は、近年激減したオニバスの保護に取り組む「彦根城オニバスプロジェクト」が年1回実施。12、13年は全滅状態だったが、14年は数株が成長。しかし、15年は記念物の指定範囲内では再び姿を消した。外来種のカメの食害が一因とされ、同プロジェクトはカメの捕獲を進めているが、今年復活した確かな理由は分からないという。
この日は市内外から約30人が参加した。保護活動の一環で金亀公園に接する外堀の一角に設けた栽培試験地を見るなどした後、桜場駐車場奥の石垣上から中堀のオニバスを探した。
指定範囲内だけで6株を確認でき、葉の直径が1・3メートル前後に成長した株も。指定範囲外の中堀でも6株が確認されているといい、参加者は「多くのオニバスが見られて良かった」と喜び、「なぜ今年はこれだけ育ったのか研究が必要」と、希少植物の保護に一層の意欲を高めていた。