襲撃犯の林田が使った刀(手前)と中井の刀(奥)が148年ぶりに相対した
京都国立博物館(京都市東山区)は5日、新政府設立当初に駐日英国公使ハリー・パークスが京都で襲撃された事件で使われた刀を確認し、今秋の特別展覧会で初公開すると発表した。霊明神社(同)が所蔵している刀で、襲撃犯を討ち取った武士の刀とともに展示し、148年ぶりに壮絶な斬(き)り合いの様子を博物館で再現する。
慶應4(1868)年2月30日、パークス一行は天皇謁見(えっけん)のために宿所の知恩院から京都御所へ参内する途中、三条縄手付近で2人の男に襲われた。応戦した護衛の元薩摩藩士・中井弘(なかいひろむ)(後に滋賀県知事や京都府知事に就任)が一人を討ち取り、一人は護衛が取り押さえた。パークスにけがはなかったが、新政府は謝罪文を送り、外交問題に発展しないように努めた。
同博物館によると、確認されたのは京都出身の攘夷派志士・林田貞堅(はやしださだかた)(朱雀操)の刀で、林田の墓近くの霊明神社に保管されていたことは知られていた。今回は京博の調査で林田の縁戚が神社に刀を奉納した記録が見つかり、正式に林田の刀と認められた。中井の刀は京博が保管していた。
林田と中井の刀には大きな刃こぼれが残り、激しく斬り合った状況を物語る。同博物館の宮川禎一列品管理室長は「パークス襲撃事件は事の次第では新政府を揺るがしかねない事件だった。実際に斬り合った刀がそろって展示されるのは極めて珍しい。二振りの刀から維新の実像を考えてもらいたい」と話す。
特別展覧会「没後150年 坂本龍馬」は10月15日~11月27日。有料。
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