国防権限法案に署名するトランプ米大統領=大統領のツイッターより
(ワシントン 14日 中央社)トランプ米大統領は13日、2019会計年度(18年10月~19年9月)の国防予算の枠組みを決める国防権限法案に署名し、同法が成立した。同法には台湾との防衛協力を強化する内容が盛り込まれた。外遊中の蔡英文総統は同日午後、経由地の米ロサンゼルスで米議員と面会し、同法の成立について感謝を伝えた。また、今後国防予算を引き続き増額する方針を示した。
台湾に関する内容が記されたのは1257条と1258条。1257条では、台湾の軍事力増強に関する提言がなされ、台湾の軍隊や予備役兵力に対して適切な評価や提言を行うことを米国防長官に求めた。また、法案公布から1年以内に国務長官と協議を行い、台湾の軍事力の評価などについて議会の関連委員会に報告することを国防長官に要請した。
1258条では、米議会の意見として、米国は台湾との国防や安全保障における連携を強化するべきなどとする立場が示された。海外からの防御用兵器調達に対する強力な支援や台湾への武器供与の予測可能性向上なども提言された。また、台湾との実地訓練や軍事訓練を行う機会の促進や、台湾旅行法に基づいた米台双方の国防関連の高官などによる交流の促進について記された。
同法への署名について、米ホワイトハウスは13日、トランプ大統領名義で声明を発表。1257条に言及し、軍の最高司令官であり、外交における唯一の代表でもある大統領の職権をもって同条項を取り扱うとの立場を示した。これは1257条を履行するかは、大統領の職権の範囲に当たると政権がみなしていることを意味する。1258条に関する言及はなかった。
蔡総統は13日、ロサンゼルスで米下院のマクシーン・ウォーターズ議員やブラッド・シャーマン議員らと昼食を共にした。外遊に同行している蔡明彦・国家安全会議副秘書長によれば、蔡総統は同法の成立について、米議会の台湾への長期にわたる支持に感謝すると述べたという。
また同日、ロサンゼルスを発つ前に、上院外交委員会東アジア太平洋・国際サイバーセキュリティー政策小委員会の委員長を務めるコリー・ガードナー上院議員と面会。ガードナー氏は、武器供与における米台間の協力の常態化を望む姿勢を示した。蔡総統は台湾が来年度の国防予算を大幅に引き上げたことに言及。今後も国防予算を増額していく方針であることを伝え、重大な兵器購入案については特別予算を組んで対応すると述べた。
蔡総統は12日から20日までの日程で、外交関係を持つ南米パラグアイと中米ベリーズを歴訪。往路で米ロサンゼルスに立ち寄り、13日夕方、パラグアイに向けて出発した。帰路ではヒューストンを経由する。