「1913阿里山旧事所地方文化館」内の展示室
(嘉義 18日 中央社)日本統治時代に建設された南部・嘉義県の「阿里山賓館」歴史館の展示室(6、7階)が15日、「1913阿里山旧事所地方文化館」としてオープンした。台湾最高(標高約2200メートル)の文化館としても注目が集まる。同県の呉芳銘副県長は、同館は阿里山の歴史の縮図で、一歩足を踏み入れると100年前に戻るようだと述べ、今後は今までと違う芸術的視点から阿里山の人文や文化を味わってほしいと呼び掛けた。
阿里山賓館の幹部職員によると、同館の前身は阿里山で伐採されたヒノキを使って1913(大正2)年に建てられた「阿里山林務倶楽部」。当初は現地で林業開発に携わる日本人の事務所や宿舎となる母屋と、台湾人職員や労働者が使用する離れの計3棟があったが、離れの2棟は火災で焼失してしまったという。母屋はこれまで数度の地震に見舞われたが、保存状態は良好で、阿里山森林遊楽区内に唯一残る切妻屋根の木造建築となっている。
呉副県長も、戦後は「阿里山招待所」と名を改め、多くの国家元首や有名人らをもてなしたと解説。館内では木造建築工芸の妙を堪能でき、林業の視察に訪れた台湾総督の足跡をたどれるほか、大正時代をほうふつとさせる喫茶店もあると見所を紹介した。国内外の貴賓が泊まったスイートルームや阿里山森林鉄道開通当初の古い文物の展示コーナーなども参観できるという。