4日に発表された高雄市文化局の新刊本など
(高雄 6日 中央社)清朝時代に建てられた南部・高雄市の旧左営城にスポットを当て、城内に残る第2次世界大戦の軍事遺跡や、戦後の地域社会の構成員の変化などを紹介する書籍やドキュメンタリーが発表された。同地における日本軍の特攻隊「震洋隊」の歴史をひもとく書籍「左営二戦秘史-震洋特攻隊駐台始末」など計6作品。出版元の同市文化局は4日の発表会で、貴重な歴史を取り上げたもので、同市への認識を深めることができるとアピールした。
旧左営城は清朝時代の1826年にそれまであった土城を再建した石造りの城。その後他所に新しい城が築かれて旧城と呼ばれるようになった。城壁や堀、井戸などが国定古跡に指定されている。2012年、同城内に位置する「西自助新村」(中国大陸から移り住んだ軍人やその家族らが暮らす集落)から「昭和16年」と刻まれた水道管が見つかったのをきっかけに、防空壕や神社跡などが相次いで発見され、近年の研究で同集落が震洋隊の基地だったことが明らかになった。
震洋はベニヤ板張りのモーターボートで、船首に爆薬を積み、乗員もろとも敵に体当たり攻撃を仕掛ける水上特攻艇。当時台湾には10部隊あり、うち4部隊が左営に配置されていたという。「左営二戦秘史~」では、元隊員とともにゆかりの地を訪ねたり、西自助新村での取材をするなどして震洋隊の足跡をたどっている。