台風21号の影響で壁の一部が崩れた大覚寺客殿。
寺の関係者らが建具を元に戻すなど復旧に追われた

台風21号による京都府内の国や府の指定・登録文化財の被害は、6日までの府教育委員会のまとめで100件を超えた。秋の観光シーズンや祭礼を控え、被害を受けた社寺は復旧作業に追われた。
京都市伏見区の醍醐寺では、金堂や三宝院表書院(いずれも国宝)の屋根瓦の一部が落ちた。倒木も多く拝観を停止したが、文化財が多い三宝院は7日から拝観を再開する予定。業者らが庭園の倒木の処理に当たった。同寺は「室戸台風の時よりも被害は大きいのではないか」としている。
同区の伏見稲荷大社では、外国人観光客に人気の千本鳥居が数カ所で傾き、途中から通行止めにしている。静岡県から訪れた岡田信二さん(62)は「上まで登れずに残念だけど、すごい台風だったようなので仕方がない」と話した。同大社は「現在被害状況の調査を進めている。早い復旧を目指したい」としている。
大阪府北部地震でも建物が被害を受けた右京区の大覚寺は客殿(重文)の壁の一部が崩れたほか、宸殿(同)の板戸が外れて風雨が吹き込み、100枚近い板戸や襖(ふすま)の大半が外れた。寺を開いた嵯峨天皇直筆の般若心経を公開する60年に1度の「戊戌(ぼじゅつ)開封法会」を10~11月に控え、拝観を当面休止し、9月22~24日の「観月の夕べ」も中止して復旧に全力をあげる。岡村光真執行は「地震に続くダブルパンチだ。法会に向けて畳や障子を新調してきただけに厳しい状況だが、やり直したい」と話した。
府教委文化財保護課によると国や府の指定・登録文化財の被害は136件となった。
(京都新聞)