28日から公開された生神女福音大聖堂内の聖障
国内に現存する東方正教会の本格木造建築として最古の「生神女福音(しょうしんじょふくいん)大聖堂」が28日から、京都市中京区の京都ハリストス教会で公開された。内部は、聖人や聖書の出来事が描かれた絵画「聖像(イコン)」が掲げられ、神聖な空気に包まれている。
大聖堂は1903(明治36)年の完成で、京都府庁旧本館を手がけた松室重光が設計した。中央にドーム状の祈りの空間「聖所」を有するロシア・ビザンティン建築で、鐘楼を含め高さは22メートルある。
内部にはモスクワで制作、移送された高さ5・5メートル、幅10メートルのついたて状の聖障がある。壁に30面の聖像がはめ込まれていて、キリストや聖母子、12人の弟子、「最後の晩餐(ばんさん)」などが描かれている。帝政ロシア末期の制作で、同時代の聖障が実際に教会で使われているのは世界的にも珍しいという。明治時代の聖像画家山下りんによるイコン「至聖(しせい)生神女之福音」や聖堂完成時にロシアから贈られた銀製聖杯などもある。
大聖堂は28日から11月7日まで、京都古文化保存協会(左京区)の「第52回京都非公開文化財特別公開の」の一環で公開される。有料。