二条城敷地内の新たなバス駐車場予定地
世界遺産・二条城(京都市中京区)の敷地内での観光バス駐車場整備に向けて、市は31日、埋蔵文化財の発掘調査を始め、事実上、工事に着手した。城周辺の交通量の増加や、樹木伐採を伴う景観変更への懸念から住民団体の反発はやんでいないが、2017年4月下旬にも運用開始を目指すという。
計画では、バスが最大30台止められる堀川通沿いの既存駐車場を縮小する一方、城の北西部の樹木を伐採・移植し、10台分のバス駐車場(約1320平方メートル)を新設する。世界遺産の中核区域「コアゾーン」内のため、整備に伴う現状変更許可が必要だが、市は文化庁から埋文調査の許可を得ており、樹木の伐採や工事も近く認められるという。
市は11~12月の埋文調査に続いて、来年1月上旬ごろまでにアラカシや松、梅などの樹木約90本を伐採・移植する。同3月までに駐車場を整備した後、既存駐車場を含めて民間に運営を委託するという。
市の二条城事務所は「新たな駐車場側にも警備員を置くなど安全対策には万全を期す」としている。
ただ、近隣住民らの反発は根強い。既存の駐車場が満車になったのは、市の調査では15年度にバスが15日、乗用車は16日と限られ、必要性を疑問視する。新たに駐車場ができると、待機するバスによるエンジン音や排ガスの被害を受けるとして、4月には計画撤回を求める公害調停を府公害審査会に申請した(10月3日に調停打ち切り)。今後も市議会などに計画見直しを求める方針だ。
住民団体役員の小林篤さん(48)=上京区=は「新駐車場の必要性を裏付ける客観的データに乏しく、なぜ整備を強行するのか納得できない。新駐車場の運用の仕方を含め、今後も注視していく」と話している。