過去の悪い行いを反省し、心を清らかにする「御懺法講(おせんぼうこう)」が30日、京都市左京区大原の三千院で営まれた。経文に旋律をつけて唱える声明(しょうみょう)が雨上がりの境内に厳かに響き渡った。
御懺法講は1157年に後白河天皇が宮中の仁寿殿で営んだのが始まりとされ、門跡寺院などに伝わってきた。明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)や昭和の太平洋戦争などの影響で何度か途絶えたが、天台宗の最も重要な儀式として三千院が1979年に復興した。
法要は午前11時から宸殿(しんでん)で始まった。導師を務める三千院の堀澤祖門門主をはじめ、9人の僧侶が堂内に入り、雅楽の調べの中で高らかに声明を唱えた。儀式は2時間にわたって営まれ、終盤には花びらをかたどった紙を僧侶がまく「散華(さんげ)」があり、約290人の参列者が古儀にのっとり再現した宮中法会を静かに見守った。