本の入った段ボール箱が床に置かれた宇治市中央図書館の書庫。
書架の段数も増やし、ぎっしりと詰められている(京都府宇治市)

図書館職員らが持参したカラーボックスが並ぶ宇治市中央図書館。
靴箱も本棚に利用されている

宇治市図書館(京都府宇治市)で収容できる本が、残り約2千冊と飽和の危機にある。書庫の狭さや限られた予算が原因といい、本棚の隙間に入れたり床に置いたりと苦肉の策でしのいでいる。市民1人当たりの蔵書冊数は全国の同規模自治体で最下位に甘んじており、「本を減らすわけにはいかないが、抜本的な対策も見当たらない」と頭を抱える。
2017年度末の資料数は中央、東宇治、西宇治の3図書館で計約32万7千冊。新たな購入分などから、長く借りられていないなどで「除籍」した本を差し引くと、11年度からは毎年約400~6800冊増えている。
「収容できるのは残り約2千冊。でも、きちんと並べたら既にいっぱい」と、市中央図書館(同市折居台)の安田美樹館長は言う。
本格的な書庫は同館にしかなく手狭だ。蔵書を少しでも増やすため、本の高さをそろえて並べ、書架の段数を増加。文庫本を詰めた段ボール箱を床に置いたり、本を横に倒して隙間に積んだりと、あの手この手の策を講じている。
予算が限られる中、職員が持ち寄ったさまざまなカラーボックスも本棚代わりとして館内や書庫の壁際にどんどん並ぶように。書庫の2階には大容量の移動式本棚があり、台数を増やすスペースはあるが、「ものすごく高額」と安田館長は諦め顔だ。
こうした状況を受け、昨年度は例年より多くの本を除籍し、府内の図書館で1冊しかない本を府立図書館(京都市左京区)に置いてもらう「移管」も始めた。
宇治市中央図書館によると、同市の蔵書冊数は市民1人当たり約1・7冊(16年度)。同規模人口(15万~20万人)の全国49市で最少という。安田館長は「少しでも順位を上げたいので、何とか本を入れる場所を捻出し、蔵書を増やしていきたい」と話す。
京都新聞