(屏東 3日 中央社)神職の佐藤健一さんが民間からの寄付金で再建した南部・屏東県牡丹郷高士村の高士神社をめぐり、野党・国民党政策委員会の蔡正元執行長から「日本統治時代の功績への賛美だ」と批判が出ている。高士村の李徳福村長は1月31日、蔡氏の誤った言論により集落が大きく傷つけられたとし、蔡氏に対し謝罪を求めた。
蔡氏は1月29日、高士神社に関する文章を自身のフェイスブックに投稿。同神社の所在地は、1874年に明治政府が台湾南部に軍を派遣した「台湾出兵」で、日本人が先住民を殺害した場所だと説明し、民進党が当時の戦闘で死亡した集落酋長を顕彰するのでなく、日本の神社を建てたことは非常に不思議だとつづった。
李村長が同31日に発表した声明によると、蔡氏の投稿を受けて、非難のために集落を訪れる人が相次いでおり、極めて非友好的な態度に村民は恐怖やストレスを感じているという。
李村長は、「民進党が再建した」とする蔡氏の指摘について、神社は日本の民間からの寄付金で建てられたものだと事実関係を否定。また、日本の功績を称美しているとの見方についても、神社は「もつれた歴史に対する集落と日本人の間における許しであり、紛争の解決、友好樹立の象徴」だと説明した。
2月1日に取材に応じた蔡氏は、自身が批判しているのは集落の先住民ではなく、民進党政権だと弁明。その上で、村の先住民には祖先を祭る独自の伝統儀式があるにも関わらず、日本の神社を用いたことについて疑問を呈した。また同日、フェイスブックに再び自身の見解を発表した。
蔡氏の2度目の発言を受け、李村長は「どうしようもない」と不満を露わにし、蔡氏に対して法的措置を講じる考えを明らかにした。