駆け抜ける馬上から矢を放ち、五穀豊穣(ほうじょう)や天下太平を願う「流鏑馬(やぶさめ)神事」が5日、大津市神宮町の近江神宮で営まれた。参道に詰めかけた観衆ら約5千人は、目前で繰り広げられる勇壮な神事に魅了されていた。
流鏑馬神事は1990年から始まり、今年で28回目。同神宮祭神の天智天皇が漏刻(水時計)を作った故事にちなむ「時の記念日」(6月10日)に先立ち、昨年からこの時期に営まれている。
日本古式弓馬術協会(東京)の射手(いて)5人が鎌倉時代の鎧直垂(よろいひたたれ)をまとい、約200メートルの馬場に40メートル間隔で置かれた三つの的を、疾走する馬と呼吸を合わせて狙いすまし、矢を放った。最も小さい直径約15センチの「土器の的」を射抜くと、五穀を表す赤や黄色など五色の紙が飛び散り、会場から歓声と拍手が湧き起こった。
友人と訪れた大阪市の理学療法士の籔田容子さん(27)は「乗馬が趣味で興味があった。射手は集中していて緊張感が伝わってきた」と楽しんでいた。