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映画「ちはやふる」公開で参拝客倍増 滋賀・近江神宮

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はかま姿の参拝客が目立つ近江神宮の境内。
大津市内を走る「ちはやふる」のキャラクターが描かれたラッピングトレインとタクシー


 競技かるたにかける高校生を描いた青春漫画「ちはやふる」。連載が始まった2007年12月以来、大津市神宮町の近江神宮は「かるたの聖地」として描かれ、ファンの人気を集めてきた。3月の実写版映画の公開を機に聖地への関心はより高まり、境内では主人公さながらのはかま姿で参拝する姿も見られ、「かるたのまち・大津」が活気を帯びている。

■かるた聖地、活気さらに

 5月下旬、境内をのぞくと、はかま姿の若者の姿が目に付いた。矢がすりの着物に紺色のはかまで記念撮影していた中野友香さん(26)=神奈川県川崎市=は「映画の場面そのまま。すごい」と興奮気味だった。

 百人一首1番を詠んだ天智天皇を祭る同神宮では、毎年競技かるたのクイーン戦・名人戦や、全国高校選手権も行われている。同神宮では漫画「ちはやふる」の世界を味わってもらおうと、4年前からはかまのレンタルを始めた。

 当初の貸し出し状況は、週末に10件程度だったが、実写版映画の公開以降、急激に増えた。1時間500円と安価なレンタル料も手伝って、5月の大型連休には連日200人超が申し込み、近江神宮衣装部の生島忠則さん(56)は「着物が全部貸し出し中になった。こんな状況は二度とない」と振り返る。

 参拝客も倍増し、近江神宮には3、4月だけで7万1千人が訪れた。複製原画展を開く近江神宮内の時計館宝物館の3、4月の来館者数も3900人と昨年の約4倍に上った。岩崎謙治禰宜(58)も「漫画でもアニメ化でも参拝客は増えたが、やはり映画の力はすごい」と驚く。

 「ちはやふる」は09年にマンガ大賞、11年に講談社漫画賞少女部門を受賞した人気少女漫画。リアルで迫力のある競技シーンに加え、登場人物の高校生たちの心の機微も丹念に描き、男女問わず支持を集めている。

 11年と13年にアニメ化されており、大津市では、実写版の映画化が決まる前から漫画を軸にした観光PRに力を入れてきた。12年にびわ湖大津観光協会や県かるた協会などによる「ちはやふる・大津」キャンペーン実行委員会が発足。漫画の主人公をPR看板やパンフレットなどに採用し、ラッピング電車も走らせた。

 実写版の映画化が決まるとPRはさらに加速。今年2月には大津市やびわ湖大津観光協会、映画のロケを誘致・支援する滋賀ロケーションオフィスなどが手を取り合い「ちはやふる応援隊」を結成した。

 応援隊は、3月19日の映画「上の句」公開に合わせ、市内各所でパネル展を企画。ロケ地となった福井県あわら市や東京都府中市と連携し、3市のロケ地を紹介するマップも作った。マップと映画の半券を持参すると3市それぞれで記念品(限定千人)がもらえるキャンペーンを行ったところ、「大津市が最初になくなった」(同オフィス)という。4月29日の「下の句」公開ではラッピングタクシーが登場し、かるたの聖地に彩りを添えた。

 ただ、「映画の効果はいつまでも続くものではない」と同オフィスの北村勘吉さん(43)は言う。びわ湖大津観光協会の坪田朋也さん(30)も「漫画の連載は続く。原作のファンに、もっと喜んでもらえる仕掛けも考えないといけない」。映画の続編製作も決まっており、競技かるたの人口も増えているという。この盛り上がりをいかに持続させて地域の活性化につなげるか。関係者は知恵を絞っている。


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