(台北 25日 中央社)文化部(文化省)は蒋介石元総統を顕彰するために建設された「中正紀念堂」(台北市)について、国民党の権威主義体制を象徴する要素の排除を進めている。独立派は支持を表明している一方、野党・国民党からは強く非難する声が上がっている。
▽商品撤去、蒋介石称賛する音楽の放送中止
鄭麗君文化部長は25日、中正紀念堂の管理に関する法律の改正を進めていくと表明。まずはホールの名称から「中正」や「介石」を取り除き、1・2ホールに変更するとしている。今月10日からはすでに、権威主義色が強い商品を建物内の商店から撤去。23日以降は開館・閉館時に流されていた「蒋公記念歌」の使用が中止された。
蒋介石の銅像や写真などを撤去するか、中正紀念堂の名称を変更するかに関して鄭部長は、今後公聴会を開き、どのように転換していくか話し合っていくと説明した。
▽賛否分かれる
台湾独立を目指す団体、台湾北社の張葉森社長は文化部の方針を「遅れてやって来た正義」だと評価。一部商品の撤去について、世界的に有名な殺人鬼を記念することは国家の恥であり、販売停止は第一歩だと述べた。
一方、国民党の洪秀柱主席は、文化部が行おうとしているのは脱孫文化や脱蒋介石化でなく、「脱中華民国化」だと反発。カク龍斌同党副主席は、主に中国大陸と海外からの観光客にとって中正紀念堂は重要な名所で、文化資産として保護されている場所でもあるとし、文化部のやり方は全く妥当ではないと批判した。(カク=赤におおざと)
今年は二・二八事件から70年、戒厳令解除から30年の節目の年にあたる。台湾では、旧政権の犯罪に民主的な新政権がどのように対応するかという「移行期の正義」に期待が持たれている。