台湾メディアの自由時報は2月28日、台湾高速鉄道の運営会社の前副総裁が2016年11月、中国側と協力に向けた覚書を「ひそかに」交わしていたと伝え、これによって台湾高速鉄道の基幹技術や資料が中国側に流出した可能性があると報じた。
報道によれば、台湾高速鉄道の運営会社の前副総裁は16年11月、中国政府系の研究機構である中国鉄道科学研究院と技術やサービスに関する協力を行う旨の覚書を「ひそかに」締結したという。
さらに、前副総裁は中国側への「手土産」として、建設や運営、メンテナンスに関する資料を渡した可能性があるとし、そのなかには台湾高速鉄道の基幹技術も含まれていた可能性がある。
台湾高速鉄道の運営会社は事件発覚後、前副総裁に対する調査を行ったが、前副総裁は「中国高速鉄道の技術はもはや欧米や日本に劣るものではない」と回答したうえで、「中国側との技術交流は台湾にとって無駄にはならない」などと主張したという。一方、前副総裁はすでに自発的に退職しており、退職金を手にしたうえで転職にも成功している。
また、台湾メディアの鏡傳媒は、前副総裁が中国側に渡した手土産によって、台湾高速鉄道の基幹技術が流出した可能性が「極めて高い」と伝えている。台湾高速鉄道は新幹線の技術が導入されており、その基幹技術が中国側に漏えいした可能性があるとすれば、それは日本にとっても看過できるものではないはずだ。(レコードチャイナ・編集担当:村山健二)