10月1日からの京都市バス・地下鉄の運賃改定を伝える張り紙
(京都市、太秦天神川駅)
京都府・京都市の主な施設の値上げ例
10月1日から消費税が10%に引き上げられるのに伴い、京都府と京都市は、市営地下鉄運賃をはじめ、公共施設利用料や手数料などに増税分を転嫁する。一方、増税後の消費落ち込み対策で国が市町村経由で行う低所得者・子育て世帯向けの「プレミアム付き商品券」も申請受け付けや購入券発送作業が始まった。企業向けには景気への影響を最小限に抑えるため、府や市が独自の支援策を用意し備えている。
■初乗り220円 日本一高額
京都市営地下鉄は京都―四条などの1区(3キロ以内)、国際会館―竹田などの4区(11~15キロ)、六地蔵―太秦天神川などの5区(15キロ超)で10円アップする。初乗りは220円となり公営地下鉄で全国一高くなる。市バスは均一区間の運賃(230円)を据え置くが、乗車距離に応じる調整区間の一部で10~20円値上げする。定期券は市バス、地下鉄とも値上げとなる。14日以降、地下鉄各駅の張り紙や市バス車内のチラシで周知する。市交通局は「市民の足を維持するため増税分の転嫁を理解してほしい」としている。
このほか、市設置の駐輪場の定期料金、宝ケ池公園球技場(左京区)や横大路運動公園(伏見区)の野球場兼運動場の利用料などを引き上げる。上下水道料金も12月検針分からの値上げを予定する。府施設は府民ホール・アルティ(上京区)、丹波自然運動公園(京丹波町)、青少年海洋センター(宮津市)などの利用料や宿泊料を改定する。府立医科大付属病院など府の医療機関の各種診断書の発行手数料、屋外広告物設置や建築など各種許認可の手数料も値上げする。
■プレミアム付き商品券 対象世帯に書類 自治体が発送
最大2万円の負担で2万5千円分の買い物ができる国のプレミアム付き商品券事業は、事務を請け負う京都市など各市町村が順次、申請の対象となる世帯に書類を発送している。
住民税非課税者は、市町村から送られてくる申請書で申請後、購入引換券が郵送される。子育て世帯は申請が不要で、対象は2016年4月2日から今年9月30日までに子どもが生まれた世帯。9月下旬以降、対象の子どもの人数分の購入引換券が各世帯に届く。
いずれも市町村指定の販売場所に引換券を持ち込み、商品券を購入する。原則、発行した各市町村内の取扱店で使用できる。
京都市では8月末から住民税非課税の約37万人に申請書の郵送を開始。12月2日まで申請を受け付ける。商品券は10月1日から来年3月2日まで、市内の郵便局で販売する。手続きの問い合わせは市専用コールセンター0570(045)500、制度に関しては内閣府の専用ダイヤル0570(02)2036へ。
■中小企業支援策 売り上げ減に融資制度
府は今回、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年と、ほぼ同様の政策メニューをそろえた。金融支援では、売り上げが10%以上減少するなどした中小企業に対し、融資限度額2億8千万円、利率年1・2%で運転資金を貸し出す制度融資枠を設けた。10~12月の経営状況を判断するため、申し込みは来年1月以降となる。前回増税時は預託金80億円を積み、融資実績は48件約8億7千万円にとどまったため、今回は本年度当初予算で預託金40億円を積んだ。
増税による売り上げ減に備え、各企業が実施する固定経費軽減や経営改善の取り組みに上限30万円(小規模事業所は20万円)を補助する事業は、当初予算で前回同様の3千万円を確保した。4月以降の企業ヒアリングで需要が多いと判断し、3千万円の上積みを9月補正予算案に計上した。
各商店街などが消費喚起のため独自に取り組む国とは別の商品券事業への助成は、当初予算で1700万円確保。京都三条商店街(京都市中京区)や井手町商工会など、府内約20団体が実施を決めている。
キャッシュレス決済でポイント還元される国制度が始まるが、中小では対応が遅れている。このため、商店街の集客事業に対し上限30万円でチラシやのぼりなどの製作費用の2分の1を助成する制度を10月以降に創設する。キャッシュレスに対応する大手やチェーン店などに客が流れるのを防ぐのが目的で、9月補正予算案に1千万円を計上した。京都市も10月から、商店街や伝統産業の組合などが実施する販売促進イベントの支援を独自に始める。歳末セールの広報費などを2分の1を上限に補助する。本年度当初予算で1千万円を確保している。
府中小企業総合支援課は「駆け込み需要の動きが弱く、増税後の景気状況は見通しにくいが、万全の態勢で臨みたい」としている。
京都新聞