「壬生さんのカンデンデン」の愛称で知られる国の重要無形民俗文化財「壬生狂言」の春の公開が29日、京都市中京区の壬生寺で始まった。素焼きの皿を豪快に割る「炮烙割(ほうらくわり)」など5演目が上演され、一時は雷雨に見舞われた不安定な天候の下、集まった440人の観客を沸かせた。
炮烙割は、市場の出店順を巡る太鼓売りと炮烙売りとの争いを描いて因果応報を伝える演目。鉦(かね)と太鼓、笛の音に合わせ、仮面を付けた演者がユーモラスな所作で笑いを誘った。太鼓売りが高さ約3メートルの舞台から約1100枚の炮烙を落とすと、大きな拍手が湧き起こった。大阪市淀川区から友人と訪れた薬剤師梶村真佐子さん(55)は「初めて見たが、思っていた以上の大迫力だった」と話した。
壬生狂言は鎌倉時代の1300年、壬生寺の中興の租・円覚上人が、声が届かないほど大勢集まった群衆に身ぶり手ぶりで仏の教えを説くために始まったと伝わる。
5月5日まで。炮烙割は連日午後1時からの初番。有料。