斎王代の富田紗代さんとともに内侍の長姉絢子さん(右)と命婦の次姉雅子さん
15日、京都市内で行われた葵祭。沿道の若葉が緑をあやなす都大路を、平安朝の風雅な装束に身を包んだ一行が進んだ。十二単(ひとえ)の斎王代は、女人列に加わる2人の姉とともに、笑顔で下鴨神社(左京区)へ向かった。
「姉が、がんばれと声を掛けてくれました。そばにいてくれるのでとても心強い」。第62代斎王代の同志社大2年富田紗代さん(19)=左京区=は、京都御所(上京区)で、穏やかな表情で腰輿(およよ)に乗り込んだ。長姉絢子さん(24)は内侍で、次姉雅子さん(21)も命婦(みょうぶ)で参列した。
葵祭行列保存会の猪熊兼勝会長(79)は「3姉妹での参列は珍しい。1956年の斎王代列創設以降、初めてではないか」と話す。
父謙一郎さん(55)=不動産賃貸会社「冨士興業」専務=によると、年齢の近い3人は幼少期から仲が良く、末っ子の紗代さんは、2人の姉の影響を受けて育ったという。3姉妹ともダンスを得意とし、姉2人は創作舞踊やヒップホップダンス、紗代さんは、タップダンスを続ける。
2013年、長姉絢子さんが命婦で葵祭に参列。その姿を見た紗代さんは「いつか女人列に出たい」とあこがれを抱いたという。そして自身が斎王代に。「信じられない気持ちとうれしさでいっぱいだった」と振り返る。
京都御所を出発する前、腰輿の前で3姉妹がそろった。絢子さん、雅子さんはともに「3人で参列できてうれしい」と話した。紗代さんは「朝、姉から顔が緊張でこわばっている、と言われました。多くの人が見てくださるので笑顔で務めたい」と述べ、御所を後にした。