祇園祭の役行者(えんのぎょうじゃ)山保存会(京都市中京区室町通姉小路通下ル)が、山を飾る「宵掛け」と呼ばれる懸装(けそう)品を修復した。21日の宵々々山から23日の宵山までの3日間、会所前の山で見られる。
期間中、懸装品を付けない山もある中で、役行者山は、巡行では使わない、専用の懸装品がある。今回修復したのは、前掛と東西の胴掛、後掛、見送、水引。
前掛には、赤色の緋羅紗(ひらしゃ)地に宝珠や波濤(はとう)紋の刺繍(ししゅう)を施してある。両面の胴掛にも、それぞれ雲龍などを刺繍し、両面の龍が、前掛の玉のような宝珠に向かう図柄になっている。見送は雲龍の図柄の綴織(つづれおり)。
保存会によると、これらの宵掛けの懸装品は「ぼろぼろ」の状態で、刺繍がほどけて糸が垂れていた状態だったという。そこで、昨年の祭りが終わってから修理に取りかかり、刺繍をほどいてとじ直す、細かな作業で修復した。袈裟(けさ)や刺繍修理の和光舎(伏見区)が修復に当たった。保存会の林寿一理事長(63)は「3日間は、宵掛けの懸装品を山に使い、巡行で使用するものは会所に飾る。両方を見てもらいたい」と話す。
期間中は、現存する山鉾の飾り金具で最古という、18世紀前半までに作られた欄縁角金具(らんぶちすみかなぐ)も取り付ける。