(アパートに設置された宅配ボックス。住人の京産大の女子学生)
京都市やパナソニック、京都産業大は8日、宅配物を受け取れる宅配ボックスを、学生向けのアパートや大学構内に設置して、再配達を抑制する効果を確かめる事業を始めた。単身者が多いため家を不在にしがちな大学生が人口の1割を占めている京都市で、学生が留守中にも宅配物を受け取れる仕組みを整えることで、どれだけ再配達の回数を減せるかを調べ、宅配ボックスの普及につなげる。
通信販売の拡大に伴い宅配の利用が伸びる一方で、単身や共働きの世帯が増えていることから、受取人が不在で再配達をする割合は23・5%にも達している。再配達が増えると、二酸化炭素排出量の増大や交通渋滞を招き、宅配業界の労働者が過重労働に陥る原因の一つになっている。
今回の事業は、宅配ボックスを製造、販売するパナソニックが費用を負担し、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便も参画する。
京産大生が住む市内のアパート5棟に集合住宅向けの宅配ボックス、北区の京産大構内に多くの人が共同利用できるオープン型のボックスを設置した。構内のボックスは購入した商品を直送するほか、荷物の再配達先にも指定できる。
来年1月までの約3カ月間、ボックスを使う学生や単身者のアパート住民ら約100人を対象に宅配の利用回数や再配達を受けた回数を調べる。
パナソニックは「共働き率日本一」の福井県あわら市でも約100世帯に宅配ボックスを設置する実証実験を実施。再配達率が実験前の49%から8%に激減するという結果が出ている。
記者発表会が市役所であり、門川大作市長は「行政だけでは限界がある。それぞれの持ち場で努力することで再配達率は大きく減らせる」と力を込めた。
京都では、府も本年度から、駅や大学でオープン型宅配ボックスを設置する事業者への助成に乗り出している。