過去10年で最も早く「全層循環」が確認された琵琶湖
滋賀県は23日、琵琶湖の北湖で酸素を多く含んだ表層の水が湖底の水と混ざり合う現象「全層循環」を22日に確認したと発表した。過去10年間の調査で最も早い。湖底にすむ生物にとって、酸素が行き渡る期間が例年より長くなる効果があるという。
全層循環は「琵琶湖の深呼吸」と呼ばれ、春から秋に低下する湖底の酸素濃度を回復させる。冬に気温が下がると表層の水が冷却されて比重が重くなり、沈み込んで湖底の水と混ざり、水中を循環する。
県琵琶湖環境科学研究センターが、長浜市と高島市沖の水深約90メートルの7地点で湖底の酸素濃度を調べた。15日に一部で数値上昇がみられ、22日に別の場所でも確認したことから全層循環が起きたと判断した。
例年確認できるのは1月下旬から2月。昨年10月の台風21号で底層の水温が上がり、12月の気温が平年より1・3度低かったため、湖水が混ざりやすい状況となったとみている。
湖底にはイサザやヨコエビなどが生息しており、同センターは「生物にとって酸素量が回復し、好ましい環境がいち早く訪れた」としている。