陳清香さん
(花蓮 24日 中央社)東部・花蓮県在住の台湾原住民(先住民)タロコ族で、顔に伝統的な入れ墨「紋面」を施した陳清香さんが23日、99歳で死去した。台湾では先月も、紋面保有者だった北部・苗栗県のタイヤル族、簡玉英さんが亡くなったばかり。存命なのは花蓮県出身で台北市在住のセデック族1人、苗栗県在住のタイヤル族1人、計2人のみとなった。
紋面はかつて、タイヤル族やセデック族、タロコ族にとって重要な文化で、栄光の象徴とされた。女性は機織りができて初めて紋面を施す資格を有し、結婚が許されたという。だが、日本統治時代に禁止され、伝統は次第に失われていった。花蓮県と苗栗県が「紋面伝統」を無形文化財に指定しているほか、文化部(文化省)文化資産局が両県と共同で2016年から紋面文化保護の取り組みを進めている。
花蓮県文化局の陳淑美局長によると、陳さんは1919年生まれで、6歳のときに紋面を施したという。2009年、同県の文化資産保有者に認定された。
陳さんの世話を続け、最期を看取った末娘の貴珠さんによると、陳さんは先月26日に不調を訴えて入院。そのときはまだ、見舞いに来た人々にお礼を言えるほどの気力があったが、退院後、自宅で睡眠中、安らかに息を引き取ったという。