台湾産アワの種まきを行う龍谷大の学生や教員ら
(台東 15日 中央社)東部・台東県の林務局台東林区管理処は15日、地元の農場で在来種のアワの復元を目指すイベントを開催し、龍谷大学(京都市)の学生や教員らを招いて共にアワの種まきを行った。今回のイベントについて、同処の劉瓊蓮処長は、日本統治時代に日本人学者が台湾で初めてアワの検索表を作成したことに由来すると説明した。
資料を残したのは貴田武捷氏。台湾各地に分布する200種余りのアワを採集し、その中から選び出した130種余りを「台湾産粟の分類」としてまとめあげて1941(昭和16)年に発表した。劉処長は、台東のアワ17種についても記録があり、地元にとって「非常に貴重な史料」だとしている。
劉処長によると、アワは古来から台湾原住民(先住民)の主食であり、結婚式や収穫祭などで供物としても使われる神聖なもので、100年ほど前の台湾では栽培面積が1万ヘクタールを上回っていた。ところが現在はその100分の1にも満たない。
林務局台東林区管理処は、アワ畑の激減が先住民の食文化ばかりでなく、食物連鎖が崩れて周辺の環境や生態系にも影響を及ぼすことを懸念し、民間の環境団体とともにアワ畑の復元プロジェクトを進めている。日本の「SATOYAMAイニシアティブ」をモデルにパイワン族、ブヌン族などの集落で再びアワ畑を増やし、かつての自然環境を取り戻すことを目指すという。