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数奇な人生を歩む元中国大陸兵 朝鮮戦争の休戦後に台湾へ

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張文業さん 

(台北 27日 中央社)朝鮮戦争で連合軍の捕虜となった中国人民志願軍の将兵のうち約1万4700人が、自由の身を取り戻した時、中国大陸の郷里ではなく、台湾を目指した。張文業さん(87)もその一人だ。口数は少ないものの、色あせた両腕の入れ墨が、時代に翻弄された数奇な人生を伝えている。

張さんは国共内戦時、国民党の蒋介石率いる中華民国の陸軍士官学校を卒業したばかりだった。作戦で福建省に近い金門島から中国大陸に赴いたところ、所属部隊が中国共産党に寝返るという予期せぬ事態に遭遇。そのまま志願兵として朝鮮戦争に参戦することになってしまった。

朝鮮半島に入った一行は、寒さと悪天候に苦戦。不十分な装備での強行軍がたたって、多くの仲間が敵と交戦することもなく命を落とした。ついには銃弾も食糧も尽き果て、連合軍の捕虜となってプサンに連行された。両腕の入れ墨はこのとき入れたもので、右腕には自由を表す鳥の図柄、左腕には「粛清共匪」の4文字を彫った。

休戦を迎え、晴れて自由となった張さん。台湾に到着すると、軍隊や建設現場などでの仕事が用意されていた。張さんはショベルカーを運転し、石門ダム(桃園市)の建設に関わったという。その後は、長距離バスやタクシーの運転手などをして家族を養った。

1987年、38年間続いた戒厳令が解除され、それまで禁じられていた中国大陸への訪問が可能になった。張さんは早速郷里を訪ね、当時90歳の母親との再会を果たすことができた。しかし、末っ子だった張さんの顔を見て安堵したのか、母親はその後間もなく他界。張さんはそれ以来、故郷の土を踏んでいない。


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