ビエンチャンの市街地で通勤客らを乗せるバス。
京都市のマークや薄緑色の車体はそのままに、乗降口を改造した
(JICAラオス事務所提供)
京都市からラオスに2016年に贈られた市バス車両が、昨年11月から首都ビエンチャン特別市の街を快走している。乗降口を車体右側に設けるなどの改装を経て現地デビューし、朝夕の渋滞に悩むビエンチャンで新たな公共交通システム構築の一翼を担っている。
京都市はビエンチャン特別市と民間交流を支援するパートナーシティ提携を結んでいる。14年にラオス側からゾウ4頭が市動物園に贈られたこともあり、市が車両更新で使用を終えた市バス車両34台を16年11月に寄贈した。
ビエンチャンの公共バスは国営ビエンチャンバス公社が運行するが、車両の老朽化で走行可能台数が減少。1人の運転手が1台のバスを担当し、運転手が休むと担当路線のバスも走らないといった運行システム面の問題もあって、利用者の低迷に悩んできた。
一方、朝夕の通勤時間帯などには車やバイクの渋滞が深刻化。問題の解決へ、バスの利便性を向上させて公共交通機関の利用を促すプロジェクトを同公社が16年夏から実施し、独立行政法人国際協力機構(JICA)が技術協力を行っている。
こうした中、京都市バス車両もプロジェクトの一環で主に市街地を走る通勤路線用車両として運行を開始した。ラオスは日本と逆の右側通行のため、昨年1月の現地到着後にドアや座席の位置を変えた以外はほぼ日本で走っていた時のまま。乗客は降車時には車掌に直接知らせる仕組みで降車ボタンも実際は不要だが、そのまま残っている。
現在、京都市が寄贈した34台のうち18台が稼働している。今年1月には市街地と空港を結ぶ新たな路線の試験運行も始まり、今後も改修が済んだ市バスから順次、投入する予定という。
JICAの元専門職員で今も現地を度々訪れているという木下雄介さん(42)=右京区=は「京都市内を走っていた時のままで懐かしかった。ラオスでも愛される存在になってほしい」。JICAラオス事務所次長の作道俊介さん(45)は「市民の足としてバスが定着するよう、市バス車両を活用しつつ、運行サービスを向上させていきたい」と話す。