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古書店にも外国人客の波 京都、顧客変化で品ぞろえ一新


(写真上)新装開店した竹岡書店。来店が増えた外国人観光客を意識し、入り口近くに京都らしい図版を並べた
(下)新装前の店内。通路に本がはみ出て雑然としていた=竹岡書店提供 


増え続ける訪日観光客の波が京都市内の古書店にも押し寄せている。お土産や記念のために古都をイメージする木版画や古地図を購入する外国人が増えているといい、新たな需要にあわせて品ぞろえを一新する店が出てきた。インターネット販売の普及で学生や愛書家の足が遠のく中、「学生の街」を支えてきた古書店の救世主となるだろうか。

 京都大近くで戦前の1939年から営業を続ける竹岡書店(左京区)は3月末、新装開店した。90年に店を建て替えて以来の刷新で、「思い切って顧客の変化に対応しました」と草木篤男さん(50)は話す。

 これまでは通路にも本が積み重ねられて雑然としていた。店内中央の棚をなくして見通しを良くし、入り口付近に外国人が好む図録や京都本を並べた。棚も分野別に分かりやすくした。

 銀閣寺に近い同店では近年、外国人観光客の来店が増えており、「多い時は1日30~40人が訪れる」。もともと社会科学や理工系などの学術書を扱い、京大の研究者と密接に関わってきたが、ネット販売の広がりで「最近は学生も全く来なくなった」。店とは別の場所にある書庫に学術書や美術書を抱え、ネット販売で対応しながら、店舗は外国人が好みそうな品ぞろえに変えた。「両にらみで生き残りを図りたい」

 市内中心部の繁華街にある古書店でも、外国人観光客の来店は増えている。河原町通沿いにあるキクオ書店(中京区)の前田司さん(74)は「特に、呉服関連の型紙など京都でしか手に入らないような図版が人気」と話す。

 京都の古書店有志が糺の森(左京区)などで年3回開く古本市でも、外国人を見かけることが多くなった。「名所だけでは物足りなくなった外国人が、この街でしか出合えないものを求めているのではないか」(古書店主)。5月1日にみやこめっせ(左京区)で開幕する恒例の大即売会も、観光シーズンにも重なり多くの訪日客が来場するといい、京都の古書業界は新たな客層に期待を寄せる。


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