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京都定期観光バス、運行90年 戦前から思い出運び

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運行開始から90年を迎えた京都定期観光バス。今も大勢の観光客を乗せ、
洛中や洛外を走る(京都市下京区・JR京都駅前) 



古都の観光名所を1日で巡る「京都定期観光(定観)バス」が4月で運行開始から90年を迎えた。ガイドが添乗する観光バスの先駆けとして年中無休で大勢の乗客を運び続けている。1世紀近い歩みは、時代とともに変遷するバスの進化の歴史そのものといえる。

 ■珍しかったバスガイド

 京阪バス(京都市南区)が運行する定観バスは、1928年4月に京都遊覧乗合自動車が始めたガイド付きの遊覧バスが前身だ。「女子案内者が歴史的に興味ある説明を丁寧に致します」。当時のチラシには、まだ珍しかったバスガイドの宣伝文が躍る。

 翌29年に京阪電気鉄道がバスの営業権を取得し、12人乗りと16人乗りの計10台で運行を始めた。35年に嵐山コースを新設し、38年には初めてマイク付きの展望車が登場。天井がガラス張りの斬新な姿は、明星観光バス(山科区)と共同運行する現代の看板車両「スカイバス京都」に通じる。

 ■再開当初は外国人のみ

 戦中戦後は苦難の連続だった。物資不足で観光バスは燃料規制を受け、コースは建国にちなむ場所や天皇陵を巡る「聖蹟(せいせき)巡拝」へと変貌。戦後も観光目的のバス輸送は許されず、進駐軍に車両を提供した。再開は48年夏。GHQは当初、外国人客の利用しか認めず、国内客の乗車許可を得るにはさらに1年を要した。

 経済成長とともに利用客は急増し、75年に乗客は年間延べ119万人を記録した。「保有車両は100台を超えていた」(京阪バス経営企画室)といい、定観バスは絶頂期を迎えた。その後は自動車の普及や行楽の多様化もあって減少し、現在は年18万人前後で推移する。

 21世紀に入ってからは訪日観光客の増加で英語や中国語での自動音声案内を始め、3年前には屋根のないスカイバスを投入するなど、進化を続けている。同室の松竹淳二課長は「京都は文化や料理の宝庫で、何度訪ねても飽きない。バスで巡る魅力を若い人にも伝えたい」と意気込む。


 ◇計90歳ペア45組無料招待

 定観バスの運行90年を記念し、京阪バスは2人の年齢の合計が90歳になるペア45組を定観バスに無料招待する。年齢は運行日の9月10日時点で、コースは人気の社寺や京都郊外などを巡る6種類。6月30日までにインターネットかはがきで申し込む。

 また運行が始まった4月18日にちなみ、5~9月の毎月18日に限り、金閣寺、銀閣寺、清水寺の3カ所を回る定番コースの料金を半額にする。


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